☆現代の茶の湯 ★ルーシー・リィー [数寄・茶の湯・遠州流]
☆虎ノ門の日本消防会館・ニッショーホールへ急ぐ
第二十三回公開討論会
『現代の茶の湯』 主催:(財)小堀遠州顕彰会
http://www.enshuryu.com/kenshokai/kenshoukai-koukaitouronkai.html
難しいテーマだが、熊倉功夫氏(林原美術館館長)により、見事な進行だった。
パネラーは池内宗雪氏(池内美術主人)小堀宗慶氏(遠州茶道宗家)
林屋晴三氏(東京国立博物館名誉館員)そして小堀宗実 遠州茶道家元という豪華な顔ぶれ。
内容は濃く、わかりやすく、現代の茶のありかたへの問題提起もあり、笑いも多く、
日常的に茶と密接に関わり、お互いを深く知り合ってこその「討論」だった。
◆前半は、古美術商の池内氏、林屋先生がこれまで行った茶会の取り合わせを、スライドで紹介。
・マックス・エルンストを掛物に使う:油絵はもっと空間を選ぶ、作るべき(池内氏)
・現代ものは自己主張が強すぎて難しい(林屋氏)
・茶花の出来については、「宗慶宗匠を意識するとうまくいかない」(林屋氏)の言に対して、
「まったくバランスが悪くて、花が花入の良さを打ち消している」(宗慶氏)と返せば、
「写真が悪い。本物はもっと良かった」とさらに返す林屋先生。。場内は爆笑。
「掛け物と、花の中心を(なぜ千家さんのように)はずして置くのか」と家元から鋭い問。
とにかくするどい言葉の応酬を、熊倉氏が実にうまく次の問題へとまとめながら前半は終了。
当代第一の茶花の名手、宗慶宗匠の花を見る機会は未だ無いが、(この先もあるかどうか)
とりあえず本で鑑賞するなら、
『紅心 小堀宗慶の世界』
http://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/06904.html
☆スライド中、印象に残った作は
・花入 スパイラル釉瓶 ルーシー・リィー作
・風炉先 鉄刀木 市松透 (明治期の作)
・建水 木地 銀彩 清水九兵衛作
・写真(床掛)「海景」 杉本博司
※海を渡るテラコッタ誕生佛との取り合わせ
・茶碗 当代 樂吉左衛門
・水指 白萩 三輪休雪
※現代では、塗蓋をうまく作る作家がなかなかいない。
・「佐川美術館 樂吉吉左衛門館開館一周年記念茶会」(席主 林屋晴三)
の茶会の会記とその画像がとても貴重。。。あのコンクリートの空間の茶事には、どんな客が招かれたのだろう?
◆後半は、討論。
・(流祖遠州公の言葉をひきあいにして)
利休さんなら現代を見て、現代の茶をするだろう・・・今も昔も無い(御宗家)
・現代の茶会の取合せをこうして見ると、「作家」が目立ち、そんなものは不要(御宗家)
・伝統工芸展の「作家」有名性と無名性/茶道具を作る「職方」の今昔の問題(林屋氏)
・「茶会記」のありよう、意味、批評・批判の精神は。。(家元)
・「立礼での濃茶」で、感動できる空間が、今後の茶の可能性を開くのでは。(池内氏)
・大寄せの茶会、茶事の現在・・・茶掛けの文字も読めずに、茶は成立するのか?
いったい、“何をやっているのかわからなくなっているのでは?”(御宗家)
・いろんな(予算的)段階に合わせた、取り合わせの例などを提示してはどうか(林屋氏)
・大寄せにしても茶事にしても、「こころ」があるかどうか、が重要。(御宗家)
・どんな茶会でも必要なことは、(家元)
“テーマ性” “メッセージ” “創造性(クリエイティビティ)” “楽しさ(ファン)” “ユーモア”
・テーマとメッセージ=コンセプトが重視ということであって、それは現代美術と同じ(熊倉氏)
※現代とのかかわりが欠かせないということ、これは重要な指摘だ。と同感共感。
★討論会終了後、六本木方面へ歩く。ルーシー・リィーが見たくなり、
ミッドタウンの21/21で開催中の『U-Tsu-Wa/うつわ』を見る。
http://www.2121designsight.jp/utsuwa_about.html
1989年の草月会館で彼女の展覧会を見て以来なので、なんと20年ぶり!
まだ学生だった頃、この展覧会で展示デザインの重要性を悟った。
手元には当時の展覧会の会場の様子を伝える雑誌「icon」が残っている//
照明はERCOのエクリプス、一部で色温度変換フィルタを演出的に使っている。
木のうつわの作家の展示照明は、どうやって天井に器具をつけたのだろう?脚立かな?
その他は、応用光学のカッタースポットと、ローボルトの小型スポット(マックスレイかな)
壁際は、ポリカの波板を一面に張って、そこに水を流す。下からFLトラフでW.W.。
89年と同様に、水盤を使っているが、今回は水底に硝子瓶の底を2万8千個も敷き詰め!
ポンプで微妙に水流を作って、水を浄化しているようだ。
それにしても建築家の発想といっても、それを実現する施工精度は見事だ。
題箋は無いので、手元資料の作品配置図を見て、名称/制作年代/材質と照らしながら作品鑑賞。
ルーシー・リィーの作陶風景を、ビデオで見た。
もともとはそんなに高価でなかったものを、日本の美術商が値を吊り上げてしまった・・・
そんな討論会での話題を、脳裏に浮かべながら、自分でも値踏みしてみる。
そういう事情なら、もっともっと上がるはず・・・
89年の時は「へんな形の陶器だ」と思ったんだけどなぁ///
★ミッドタウンのカフェで、『茶の湯の不思議』を読み返してみる。
http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00880712003
http://www.enshuryu.com/bookfushigi.htm
第二十三回公開討論会
『現代の茶の湯』 主催:(財)小堀遠州顕彰会
http://www.enshuryu.com/kenshokai/kenshoukai-koukaitouronkai.html
難しいテーマだが、熊倉功夫氏(林原美術館館長)により、見事な進行だった。
パネラーは池内宗雪氏(池内美術主人)小堀宗慶氏(遠州茶道宗家)
林屋晴三氏(東京国立博物館名誉館員)そして小堀宗実 遠州茶道家元という豪華な顔ぶれ。
内容は濃く、わかりやすく、現代の茶のありかたへの問題提起もあり、笑いも多く、
日常的に茶と密接に関わり、お互いを深く知り合ってこその「討論」だった。
◆前半は、古美術商の池内氏、林屋先生がこれまで行った茶会の取り合わせを、スライドで紹介。
・マックス・エルンストを掛物に使う:油絵はもっと空間を選ぶ、作るべき(池内氏)
・現代ものは自己主張が強すぎて難しい(林屋氏)
・茶花の出来については、「宗慶宗匠を意識するとうまくいかない」(林屋氏)の言に対して、
「まったくバランスが悪くて、花が花入の良さを打ち消している」(宗慶氏)と返せば、
「写真が悪い。本物はもっと良かった」とさらに返す林屋先生。。場内は爆笑。
「掛け物と、花の中心を(なぜ千家さんのように)はずして置くのか」と家元から鋭い問。
とにかくするどい言葉の応酬を、熊倉氏が実にうまく次の問題へとまとめながら前半は終了。
当代第一の茶花の名手、宗慶宗匠の花を見る機会は未だ無いが、(この先もあるかどうか)
とりあえず本で鑑賞するなら、
『紅心 小堀宗慶の世界』
http://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/06904.html
☆スライド中、印象に残った作は
・花入 スパイラル釉瓶 ルーシー・リィー作
・風炉先 鉄刀木 市松透 (明治期の作)
・建水 木地 銀彩 清水九兵衛作
・写真(床掛)「海景」 杉本博司
※海を渡るテラコッタ誕生佛との取り合わせ
・茶碗 当代 樂吉左衛門
・水指 白萩 三輪休雪
※現代では、塗蓋をうまく作る作家がなかなかいない。
・「佐川美術館 樂吉吉左衛門館開館一周年記念茶会」(席主 林屋晴三)
の茶会の会記とその画像がとても貴重。。。あのコンクリートの空間の茶事には、どんな客が招かれたのだろう?
◆後半は、討論。
・(流祖遠州公の言葉をひきあいにして)
利休さんなら現代を見て、現代の茶をするだろう・・・今も昔も無い(御宗家)
・現代の茶会の取合せをこうして見ると、「作家」が目立ち、そんなものは不要(御宗家)
・伝統工芸展の「作家」有名性と無名性/茶道具を作る「職方」の今昔の問題(林屋氏)
・「茶会記」のありよう、意味、批評・批判の精神は。。(家元)
・「立礼での濃茶」で、感動できる空間が、今後の茶の可能性を開くのでは。(池内氏)
・大寄せの茶会、茶事の現在・・・茶掛けの文字も読めずに、茶は成立するのか?
いったい、“何をやっているのかわからなくなっているのでは?”(御宗家)
・いろんな(予算的)段階に合わせた、取り合わせの例などを提示してはどうか(林屋氏)
・大寄せにしても茶事にしても、「こころ」があるかどうか、が重要。(御宗家)
・どんな茶会でも必要なことは、(家元)
“テーマ性” “メッセージ” “創造性(クリエイティビティ)” “楽しさ(ファン)” “ユーモア”
・テーマとメッセージ=コンセプトが重視ということであって、それは現代美術と同じ(熊倉氏)
※現代とのかかわりが欠かせないということ、これは重要な指摘だ。と同感共感。
★討論会終了後、六本木方面へ歩く。ルーシー・リィーが見たくなり、
ミッドタウンの21/21で開催中の『U-Tsu-Wa/うつわ』を見る。
http://www.2121designsight.jp/utsuwa_about.html
1989年の草月会館で彼女の展覧会を見て以来なので、なんと20年ぶり!
まだ学生だった頃、この展覧会で展示デザインの重要性を悟った。
手元には当時の展覧会の会場の様子を伝える雑誌「icon」が残っている//
照明はERCOのエクリプス、一部で色温度変換フィルタを演出的に使っている。
木のうつわの作家の展示照明は、どうやって天井に器具をつけたのだろう?脚立かな?
その他は、応用光学のカッタースポットと、ローボルトの小型スポット(マックスレイかな)
壁際は、ポリカの波板を一面に張って、そこに水を流す。下からFLトラフでW.W.。
89年と同様に、水盤を使っているが、今回は水底に硝子瓶の底を2万8千個も敷き詰め!
ポンプで微妙に水流を作って、水を浄化しているようだ。
それにしても建築家の発想といっても、それを実現する施工精度は見事だ。
題箋は無いので、手元資料の作品配置図を見て、名称/制作年代/材質と照らしながら作品鑑賞。
ルーシー・リィーの作陶風景を、ビデオで見た。
もともとはそんなに高価でなかったものを、日本の美術商が値を吊り上げてしまった・・・
そんな討論会での話題を、脳裏に浮かべながら、自分でも値踏みしてみる。
そういう事情なら、もっともっと上がるはず・・・
89年の時は「へんな形の陶器だ」と思ったんだけどなぁ///
★ミッドタウンのカフェで、『茶の湯の不思議』を読み返してみる。
http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00880712003
http://www.enshuryu.com/bookfushigi.htm
マックス・エルンストを床に懸ける・・・なんていう発想があるんですか!
熊倉先生は温和でとても素敵な方ですね。
ルーシー・リーは異常な人気のような気がしますが、あの硬質な雰囲気は彼女独特。
触ってみるととても薄くて硬い感じがしたのでとても驚き、彼女のたたずまいと重なるような気がしました。
六本木の展覧会場でルーシー・リーの制作ビデオを見て、バーナード・リーチが英国ではものすごく力を持っていたことを知り少し驚きました。
by gakko (2009-03-22 22:29)
エルンストの月を描いた絵でした。
なかなか写真では良いと思いましたが、
当時から賛否両論の茶会で、芸術新潮にもとりあげられたそうです。
ルーシー・リィーのビデオは、窯出しの時に落っこちそうで怖かったですね。
by SHISEI (2009-03-23 22:20)
89年の草月会館のルーシー・リー展は私も見ました。
感動。いまだに頭から離れません。
5月までやってるんですね。見に行ってきます。
by すうちい (2009-04-14 10:27)